【体験談】就職から進学へ―自分の可能性を信じた進路変更

大学生の声

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高奨生のみなさん、こんにちは!
大学奨学生の有住龍星です。まわりからはスミスって呼ばれてます。岩手出身で、今は東北大学で、様々な製品の材料について勉強しています。
今日は自分の中学時代、高校時代について話したいと思います。



「早く就職したい」

自分が5歳の時に母親が癌で亡くなり、父が自分と弟を育ててくれました。生活する中で、金銭的に困ったことはなくて、やりたいこと、欲しいものを、父はいつも叶えてくれました。


でも「全然大丈夫!」っていう余裕のある感じではなくて、「そうか、わかった」と決心したようなトーンだったので、なんとなく「うちはあまり経済的に余裕がないんだな」と感じてました。


だから、中学生のときには、高校卒業したら就職しようって考えてて。


はやく家を出たいっていうより、弟もいるし、これからもっと大変になるだろうから、“早く自分が手のかからないようにしなきゃ”、“俺が一人で生活できるようになれば、父も少しは楽になるんじゃないか”って思って。


じゃあ、得意な数学を活かせて、就職がしやすい工業高校に進もうと考えてました。


モノを教える楽しさ

一方で、自分は人に教えるのが好きなんだなと感じることがあって、教師って職業、いいなあと思うようになったんです。


友達に勉強教える中で、「あ、わかったわ!」ってなるのが楽しくて、それが仕事にできたらと考えてました。


でも、教師になるには大学に進学することが必要で、それは父親に今よりもっと大変な思いをさせることになるので、何とかそれだけは避けたい。やっぱり、早く就職しよう、それしか選択肢はないんだ。


でもな・・・


こんな風に、自分のやりたいことと家族のことで、長い間、進路について悩んでました。

学生記事高校時代
高校時代

人生のターニングポイント

早く就職するって思い込みにとらわれてた自分だったんですけど、まわりの友達や担任の先生の後押しもあって、「教師」という漠然とした思いが、徐々に、本当にやりたい夢へと変化していきました。


中学3年の時、ついに父親に勇気をふりしぼって、将来教師になりたいこと、そのために大学進学したいこと、工業高校じゃなくて進学校に行きたいことを打ち明けました。あの時はかなり緊張したことをおぼえています。


父は自分の言葉に驚きつつ、考え込んでて、数日後に「お前がやりたいことをやったらいいよ」って言ってくれました。


でも、大学受験のために塾に通いたいって相談したときは、「塾にいく必要のある大学ならやめなさい」と言われました。その言葉のおかげで、やる気に火がついて、塾にもいかず、参考書もほとんど買わずに自分の力だけで合格することができたんですけどね。


長い自分の人生を考えての進路変更、これが自分の人生の分岐点でした。


叶えるための努力

高校入学後、最初は全然成績は良くなかったです。高1の夏にいったオープンキャンパスをきっかけに、目指すなら東北一の大学にしようと決め、1年生の秋には、誰よりも早く受験勉強をスタートさせました。


最初は合格射程範囲外だったんですけど、毎日こつこつと勉強を積み重ねていった結果、目標にしてた東北大学工学部に合格することができました。


どうコツコツするかと言うと、日常の何かを勉強に置き換える。通学時間を単語暗記に充てるとか、そうすると、勉強のために新しく時間をつくるより、今までの習慣とかを勉強に置き換えるほうがチャレンジしやすいし、継続して取り組めると思います。


自分はそういう小さな積み重ねで受験を勝ち抜きました。


今は、様々な製品に合う材料を研究する学部の授業と、教員免許取得のための授業を受けています。ただ、工学部に教師希望の人があまりいない上に、必修授業同士が重なって上手くスケジュールできなかったりと、独りで苦戦を強いられています。


これからのこと

大学に入って得た気づきって、たくさんあるんですけど、サークルやアルバイト、あしなが学生募金の活動とかを通して、自分の新しい可能性に気づけたことが一番大きいです。


自分ひとりだけだと思いもつかないことが、人との出会いを通して広がっていく。その可能性を、どう今後の人生に結び付けるか。じっくり自分のことを考える時間があるって、貴重だと思います。


新しい可能性として、実は、将来やってみたいことが増えました!自分が家族や友達、あしながでの仲間とかたくさんの人に支えられて、今ここまでやってこれたので、将来のことで悩んでいる人たちの、ライフプランニングを手助けをしたりするキャリア教育に、今、興味が出てきてます。


一時期は自身の可能性に蓋をして、別の道を歩もうとしていた自分にとっては、こうして将来の可能性が増えてきていて、とても嬉しいです。

2019年岩手山のつどいではリーダーを経験

高校生のきみへ

まずお金について。これは思ってる以上に、今は大学無償化奨学金制度が整っているので、そんなに心配ないのかなと思います。自分は日本学生支援機構の奨学金を全額学費に、あしなが奨学金は生活費にあててます。


入学前は、大学進学することで余計に父を苦しませるのでは…と思い込んでたけど、何とか、今は自分の力でやりくりできています。ちなみに、奨学金については、志望校のホームページに奨学金や学費免除について紹介してあるので、まずはそこをチェックしてみてください!


それから勉強方法としては、学校の先生と教科書を信用することが自論です。無理にまわりと同じような参考書を買わなくても、基本は教科書と学校の授業をしっかり吸収して、分からないところは、自分なりに考えて、予想でいいから答えを出してからネットで調べればいいと思います。



そして、進路がまだ決まっていない人、特に自分と同じようにやりたいことを諦めようとしている人へ。



誰かの人生じゃなくて、君の人生。
長い人生をどう生きるのか、何をしたいのか。



家族や周囲の反応とかは考えず、自分のことだけを真剣に考える時間を、30分でもいいからつくってほしい。他でもない、自分が本当にやりたいことって何だろうって、その時間だけでも突きつめて考えてみよう。


その結果が就職であれ、進学であれ、君が本当にやりたいことを全うする人生でありますように。




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