前回に引き続き、大学に在籍しながらも、1年間の休学を決意し、NPO法人カタリバでインターンシップの経験を積んだ大奨生の水橋誉さんにインタビューをしています。#1 可能性は無限大!「やりたいことないけど、進学します」で良い理由【体験談】では、何もしないと決意した大学入学から、つどいに参加してその気持ちが大きく変わり、あしなが学生募金事務局での活躍まで伺いました。今回は学生募金事務局の活動からNPOでの活動になったのかと、水橋さんが一年間取り組んでいたカタリバでの活動について伺います。
「自分の大学生活は課外活動が中心になるのでは」という自覚まで伺いましたが、あしなが学生募金事務局での活動から、それが外向きになってきたのはなにがきっかけだったんですか?
つどいの学生スタッフをやってより高まった教育への熱を実践につなげたく、「教育 一年間 実践」で検索したのを覚えています。それに、海外研修で1年間も研修・留学をする同じあしなが大奨生たちが周りに増えてきて自分も1年間くらい実践活動をしてみようと思っていました。
さらに、僕が小さいころから一貫しているのは、他人と違うことをしたいと思っていいるんです。決まったことをやるように指示されたときに、そこには書いていないことも追加でやりたくなっちゃうタイプなんですよね。
大学で教職課程を履修するだけで十分だったのかもしれませんが、つどいの学生スタッフを経験してより高まった教育への熱を実践につなげたいという想いはそこから生まれてきたものかもしれません。たしかに、一般的には1年間の休学というのは決してメリットだけではありませんが、海外研修で1年間も研修・留学をする同じあしなが大奨生たちが周りに増えてきていた時期で、自分も1年間くらい実践活動をすることに抵抗はなかったんです。
なるほど、実践活動に重きを置いていたのはそういう背景だったんですね。でも、水橋さんは具体的にどうやって活動先を見つけたんですか?
インターネットで検索しましたね。いまでも覚えているんです。「教育 一年間 実践」で検索したのを。すると、NPO法人カタリバの「実践型インターンプログラム」がでてきました。早速、説明会に参加して、1年間の実践経験が積めて、それが自身への学びにつながるっていうコンセプトに魅了されて、面接を受けました。加えて言うとこのようなインターンシッププログラムは無給であることが多いのですが、毎月10万円支給されるという経済的にも困らない安心材料も後押ししてくれました。3年生の春から夏にかけてのことですね。
説明会を受けたとはいえ、インターネットでいきなり見つけた団体でのインターンに躊躇はなかったんですか?
実は以前からカタリバのことを知っていたんです。つどいの学生スタッフを努めていたときに、プログラムを通して大きく変化する高校生たちをみて、「こういうつどいでの学びのプログラムはなんであしながの子供たちにしか提供できないんですか?」ってあしながの職員さんに質問したんです。あしながの奨学生のみならず、こういう場がもっとあるべきだと。そのときに「これ知ってる?」と職員さんに教えてもらったのが『「カタリバ」という授業――社会起業家と学生が生み出す “つながりづくり”の場としくみ(上阪徹著)』という本でした。
そういう経緯でカタリバに至ったんですね。インターンではどういう活動をしていたんですか??
福島県立ふたば未来学園高等学校に併設されている、双葉みらいラボに駐在して、高校生のサポートや、「未来創造探究」の授業に関わってきました。
まず、ふたば未来学園高等学校と双葉みらいラボを簡単に説明すると、2015年に開校したふたば未来学園高等学校は、原発事故の歴史から「未来創造探究」という授業があって、高校生自らが双葉郡の復興ためになにか活動しようという授業が週2回あるんです。その授業設計や、生徒へのサポートをやっていました。加えて、学校内に高校生たちの放課後の居場所や学ぶ場所をつくろうというコンセプトがあり、双葉みらいラボという高校に併設されている施設があります。そこでは学習支援の担当をしていました。具体的には、教科学習を日常と結び付けることで、学習の動機付けを狙いとしたイベント開催などをやっていました。普段の学習が世の中のどの部分に活かされているのかを解説したりして生徒にインプットしてもらい、さらには生徒同士でアウトプットするようなイベントを作ったりをしていました。振り返ってみると、中田敦彦さんの「Youtube大学」のようなこともしていましたね。生徒と教員というタテの関係に加えて、僕自身がナナメの存在であることを意識しました。学校の先生には直接言えないようなことの相談にのったりできるような存在のことです。
タテの関係である学校の先生、ヨコの関係になる友達、それに加えてナナメの関係にカタリバのみなさんや、水橋さんという充実した環境のなかで進路サポートや学習支援を受けられることが、思わず羨ましいなと思ってしまいました。タテでもヨコでもない、ナナメのメンター(比較的年の近い先輩で、優れた助言者のこと)だからこそサポートできることがあるんですね。次の記事では、1年間のインターンシップを振り返って、なぜ高校生が「やりたいことがなくても進学します」で良いのかについて、そして、水橋さんの今後について伺います!
※次の記事は11/27(金)の公開を予定しています。